2007年04月26日

社会福祉士試験対策バックナンバー

今回も社会福祉士メルマガのバックナンバーを公開いたします。
それではどうぞ


読者の皆さん、こんにちは。
私が魁!社会福祉士合格塾塾長です。

3月30日、第19回試験の結果が発表されました。

4万5022人受験して合格者は1万2345人(おっ、数が並んでいる…。)なの
で合格率は27.4パーセントでした。
合格基準点が総得点150点に対し得点81点以上となっており、(基準は90点)やや、問題の難易度が高かったかもしれません。

試験委員をされていた先生によると科目間で難易度の調整はしていないという話
です。例えば、社会福祉援助技術担当の試験委員が難問をつくり過ぎたからとい
って別の科目の試験委員が「気を利かせて」問題の難易度を下げることはないと
いうことです。
試験委員が自分の「なわばり」を超えて他の科目の難易度に口をはさむことも考
えにくいですよね。その結果、試験の難易度は極端に変化する年があるのだろうと思います。


第19回試験「法学」解説速報

今回は問63からです。

問63
次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に即して正しいものに○、誤っている
ものに×をつけた場合、その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。

A 複数の社会保障給付が同一人に併給されるのを禁止または制限する「併給調整」の規定は、合理的理由のない不当な差別であり許されない。

B 女性に対して婚姻の解消後6ヶ月間、法律によって再婚を禁止することは、女性についてのみ不合理な差別を強いるものであり、許されない。

C 憲法の人権規定は私人間にも直接適用されるので、企業が労働者の雇入れをその思想や信条を理由に拒否することは当然に違法となり許されない。

D 衆議院議員選挙における議員定数の配分において、一票あたりの「投票の価値の平等」を考慮しないことは、選挙権の平等に反しており許されない。


(○×の選択肢は略)

問62に引き続き、憲法、しかも第14条関係からの出題です。
第14条については前回に4コママンガの話を使って解説しましたが、法の下(も
と)の平等、つまり国民に対して法律の適用や法律の内容について平等であるべ
きということが書かれています。

Aからいきます。
Aは憲法第25条との関係のほうが深い問題ですが、それはさておき、社会福祉
の勉強をすると必ず出てくる「堀木訴訟」についての最高裁判決の判例です。同様の「朝日訴訟」とあわせて学ぶ必要があります。これら二つの判例はさまざまな論点を含んでおり、これをネタに試験問題が多く作られています。

今回の問題に関するところだけを取り上げて説明します。
障害年金を受給していた堀木さんが児童扶養手当の認定請求をした(児童扶養手当を求めた)ところ、児童扶養手当法に併給調整規定があったため、併給(この場合、障害年金と児童扶養手当を同時に受け取ること)ができないためにおこした訴訟です。
障害年金、児童扶養手当、どちらも「社会保障論」「公的扶助論」ででてくる言葉ですよ。

障害年金を受給しているので、児童扶養手当が受給できないというのは気の毒な話と思われますが、結論からいくと併給禁止には合理的な理由があり、不当な差別とはならないとされました。(したがってこの文は×)。
その合理的理由というのは、併給調整は立法府、つまり国会が国の財政事情なども考えたうえで決めたからです。
裁判所は基本的に国会について直接口を出すことはできません。法律の規定の合憲・違憲の判断はできますが、基本的に政策内容についてまで踏み込んで判断を
することはありません。(三権分立)
国にも財政事情があるっていったって税金の無駄遣いばっかりしているじゃないか!といっても法律での判断が可能でない限り裁判所はまともにとりあってくれないかもしれません。

Bは、女性の再婚禁止期間についての問題です。
現在、問題になっている民法772条2項、つまり婚姻を解消した後に生まれた子どもは前夫の子どもと推定されていることを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、ここでは再婚そのものの話です。
婚姻の解消というのは別に離婚に限ったことではないのですが、まぁ、離婚と考えても差し支えないでしょう。
婚姻が解消した後、男性はすぐにでも再婚できますが、女性は6ヶ月が経過しないと再婚できません。
えぇっ、そんなの男女平等ではないじゃないか、ということになりますが、判例は、女性が懐胎(妊娠)した場合に、その子が前夫の子か、後の夫の子かを確定するために必要な合理的な差別と判断しました。(従って本文は×)
つまり、女性は分娩の事実によって親子関係がわかりますが、男性はDNA鑑定などを用いないと親子関係がわからないことになります。親子関係を確定させる争いを防止させるためには必要な差別と判断されたのです。

Cにいきます。
基本的に憲法は国(地方)といった公と私人との関係が中心です。しかし、なか
には憲法第27条で児童の酷使を禁じているように私人間に直接適用される規定もあります。
ある企業が労働者を雇おうとしたら、その労働者は学生活動家だったので雇用を拒否したので裁判になりました。(BGMを「いちご白書をもう一度」にして読んでくれると幸いです。今の若者にはわかるネタかな?)
その裁判での判例は企業にも人を選ぶ権利はある!とでもいうのでしょうか、思想・信条を理由に拒否することを認めました。(従って本文は×)
もっとも、企業には人を選ぶ自由があるといっても男女で定年年齢が違うというような差別は違法となり許されません。両性の本質的平等に反してると考えられるからです。

Dの投票の価値の平等というのは、例えば、こういう話を考えてみましょう。
A選挙区では一人の候補者が当選するのに1万秒必要だったとします。それに対して他のB選挙区では一人の候補者が当選するのに3万票が必要でした。
A選挙区から立候補した候補者はB選挙区からの立候補者に対して3倍、有利になります。同じ1票でもその重み(価値)は違いますよね。1人に1票という平等が貫かれていても、投票の価値に差がでてくることになります。
投票というのは国民が政治的決定を行なう重要な権利ですから、選挙区によって較差(格差ではありませんよ)があることは大きな問題です。
その意味では議員定数の配分については投票の価値の平等が求められています。
したがって本文は○となります。
まとめると、選挙では一人一票という形式的な平等だけではなく、実際の投票価値の平等まで憲法は求めているのです。

しかし、議員定数の配分は人口比や政策的な要素、技術的な要素など考慮すべきことはいろいろあります。ですから、投票の価値が不平等であったというだけで直ちに違憲になったり、選挙が無効になるとはせずに、「合理的期間内」に是正が行なわれなかった場合に初めて違憲になるとしています。選挙区間での較差が
ありながら、選挙が無効になるということがなかったのはこのためです。
posted by 魁!社会福祉士合格塾 at 13:34| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする